North Shore


なんか遠い昔に夢の中で行った浜辺のよう。連れは女が二人と男が一人。小柄な男は美少年風の面影を無理に追い払うようにアフロヘアーで覆った頭を、砂浜に座っている小さな方の女の膝に乗せて、太陽を一杯に浴びながら眠っているように見える。大きな方の女は、裸足で砂浜に立って手のひらを日除けのように額に翳し、白波立つ沖を眺めている。黒く細く長い髪が風に翻る。俺は砂浜に敷いた赤いスカーフの上に腰をおろし、その女を眺めている。太陽は少しずつ西に傾き水平線に近づいていく。遅送りのフィルムのように時間はゆっくりと流れ、波の音と風の音だけが鼓膜を震わす。四人はその砂浜でじっと動かない。影だけがだんだんと長く大きく砂浜を覆う。遠い昔に見た夢。