2007-01-01から1年間の記事一覧

オージバルの夜明け

通勤の途中で車の中から見た夜明け。二十歳の頃には単車に乗っていた。生暖かい車の中と違い、冬の単車は厳しい。晴れた夜明け際、朝露を払いながらシートをまたぐ。キーを差し込み、キックペダルを二三度軽く押しこんだ後、体重を乗せて一気に蹴りを入れる…

ローマのピラミッド

木曜日のローマはタクシーのストで大渋滞だった。もちろん、タクシーが走らないから渋滞になった訳ではなくて、タクシードライバー達が抗議のために市内の動脈部を通行止めにしたためだ。それでもフランスのゼネストに比べると比較的あっけらかんとしたもの…

バスチーユ広場

随分昔に見た夢。 恋人から連絡があったのは本当にひさしぶりのことだった。恋人からの連絡が久しぶりというのは定義矛盾のようだが、まあそれは夢の中のことだからしかたない。前日電話が掛ってきて待合せ場所を決めた。通いなれた駅とその場所を頭の中で思…

国会議事堂とエッフェル塔

別に好んで夜明けや夕暮ればかり撮ってるわけじゃないけれど、冬時間突入以来日照時間が短くて、就業時間外は日が射していないのです。朝家を出る頃、ようやく東の空に僅かな光が灯り、仕事が終わって外に出る頃にはもう真っ暗。パリの長い夜は夜で過ごしよ…

サン・ジェルマン・デ・プレ

昨日はパリや地方都市で学生のデモがあった。幾つかの大学は封鎖されたらしい。最近議会で可決された大学自治を強化するための新法への抗議らしい。よくは分らない。若者はいつの時代にも異議を申し立てるものだしどんな異議申し立てにもいくつかの正当性を…

ベルサイユ広場

モンパルナスで、ウディ・アレンの最新作『カサンドラの夢』を見た。あちこちにインテリが喜びそうな所謂「アレン節」の効いた会話を織り交ぜながらも、結局は『マッチポイント』のB面のような映画だったよなあ、とつらつらパーティの場面の会話を思い出しな…

オリビエ・ド・セール通り

パリは美しい街だ。世界で最も美しいとさえ思う。同時に、混沌に包まれてもいる。ストや工事が多く、車は無秩序に走り我が物顔で路地や中庭に所狭しと駐車している。世界に冠たる食文化を誇っているけれど、中華やイタリアンレストランの多さでも他の大都市…

ビレーヌ・シュール・セーヌ

久しぶりのゼネストだった。95年のジュッペ政権を崩壊に追い込んだ規模と同じくらいの広範なストライキだったらしいが、今日は小春日和の穏やかな一日だった。目的は「一部の公務員年金特別制度の改変」に対する既得権確保だけれど、組合としても特別制度撤…

エッフェル塔

見終わっても数日間、折に触れて反芻する、稀にそんな映画がある。一昨日CANAL+でたまたま見た"Je vais bien, ne t'en fait pas"もそんな映画の一つだった。『心配するな、俺は大丈夫だから』とでも訳すのだろうか?でも、それじゃ映画の題名にはならないな…

カンヌ

もう二十年、ほぼ毎年、年に二度、仕事でカンヌに来る。海から離れた丘の上のホテルは、十月ともなるとバカンス客もすっかりいなくなり、なんとなく侘しさを漂わせている。遅めの朝食を済まして部屋に戻り、テラスに出て下を覗くと、来年の五月までは使うこ…

サン・ロンベール広場

日曜日の正午少し前、教会からミサの歌が漏れてくる。ベンチに腰掛けて本を読んでいる人がいる。時々、枯葉がはらはらと落ちる音がする。犬を連れた老婦人が車でやってきて、教会の周りを数周散歩して、また車でどこかへ消えて行く。スープの匂いがする。珈…

サクレ・クール寺院

風邪をこじらせた。肺炎とまではいかなくても、気管支炎くらいは併発してるだろう。咳をすると、喉どころか気管支の肺の近くの管が痛い。身体の節々も痛い。筋肉痛も併発しているのだろう。それにしても寒い。九月だというのに、まるで冬がやって来たような…

ルーブル

台風が通り過ぎた後の東京は、ぶり返した猛暑で息苦しい。これほど意味の氾濫している街にいると、パリの無意味な倦怠がすでに懐かしい。

鋸山

パリに戻ってもう二週間も経つのに、いつまでも未練がましく「プロバンス」でもないのだけれど、決してやって来ることのなかった今年の夏を偲んで、私が鋸山と呼んでいる"Dentelles de Montmirail"に暮れる夕暮れで、今年の「プロバンスシリーズ」は終わりに…

Venasque

中世の田舎の教会は丘の上にある。外敵の侵入から守るために街が丘の上にあったのだから当然である。Comtat Venaissinに属するこの街は、背後のボークルーズ山系を守護神にして、ボントー山を望む正面は険しい崖に守られている。18世紀初頭にマルセイユを襲…

フラッソン

ブドウ畑に覆われた丘の頂の小さな納屋までの散歩を日課としていた。その日は、その納屋の左上に消しそこないのような雲が浮かんでいた。

レ・ガ

広大なブドウ畑が波を打つように連なっている。起伏の一つが丘をなし、その片隅に集落がある。集落の中心には泉と洗濯場があり、その泉を囲むように十数件の家屋が軒を連ねている。入り組んだ壁と壁の隙間に隠れるように一つの門が見えた。暗い集落の中でそ…

バントー山麓

例えば野原に建築途中の捨て置かれた納屋がある。或いは電気も水道も通っていない納屋でバカンスを過ごすベルギー人がいる。『プロバンスの12ヶ月』で有名なリュベロンは洗練された田園と手入れの行き届いた家屋が続いているけれど、ここバントー山の麓は綻…

Dentelles de Montmirail

ボークルーズのノコギリ山に暮れかかる夕陽。こんな景色は日本にはないはずなのに、なんか懐かしい気がするから不思議。でも、プロバンスでは夕陽ばかり撮ってるな、、、。

ル・フェーブル大通り再び

午後9時、夏の夕暮れ。随分と日暮れが早くなった。日本と違って蝉も鳴かず、西日もロシア人の頬ずりのようひんやりとしている。バカンスで交通量のめっきり減った大通りの舗道を人が歩いている。ベルサイユ門はパリの西南端。観光客もここでは群れからはぐれ…

サン・ルイ島②

セーヌ河岸でピクニックをしている娘たちの解放された明るさと、日陰でアイスクリームを食べている恋人たちの落ち着いた佇まい。ようやく訪れた夏を少しは享受しようと、サン・ルイ島まで散歩した。文字通り色とりどりの観光客に混じって美しい街並みを歩い…

オニー

今週は夏らしくなって、昨日は蒼い空一面に「わた雲」が広がっていた。正式には「積雲」、フランス語では"cumulus"というらしい。会社を早退して、まだ陽の高い夕方パリに戻った。それから、久しぶりにあても無く街を散歩した。アパートに帰り際、地下鉄の入…

ブレクール城

週末、知人の結婚式でブレクール城に泊まった。パリ西方70キロ、ノルマンディー地方の鳥羽口に位置する濠に囲まれた17世紀の城。田園と森林に囲まれて、隠れるように佇んでいた。看板も道標も無い。翌日は、睡蓮を描き続けたモネの城館のあるジベルニーを訪…

オーベル・シュール・ロワーズ

精神に異常をきたしてサン・レミ・ド・プロバンスからこの村に移って自殺するまでの二ヶ月間に残した作品の一つが、この教会の絵だ。荒れ狂った嵐のような青空の下、溶け出しそうに揺れる教会に続く小道を、日除け帽子をかぶった一人の農婦が歩いている。不…

地下鉄・マドレーヌ寺院駅

古代ギリシャ・ローマの神殿を模したマドレーヌ寺院の下には、こんな金属質の現代的空間が広がっている。僕が世界で最も美しいと思う街の下には、世界で最も便利な地下鉄が走っている。でもやはり、暗い穴倉を直接目的地まで直行するよりは、建築物の間を流…

ロンドン

ピカデリーサーカス付近のビルから見たロンドンの街並み。右手にビックベン、左手にトラファルガー広場のオベリスクが見える。パリに比べると雑然としているが、過去と現在の混沌がそれなりに垣間見える気がする。 ところで、このブログの訪問者は一日平均が…

サン・ルイ島

相変わらず肌寒い毎日が続いている。まるで夏はもう過ぎ去ったかのよう。実際、夏はあの5月の数週間で終わったのかもしれない。あれ、去年もこんなことを書いた気がする。昨日は2007年7月7日ということで結婚式が量産されたらしい。この日付が彼らに幸運をも…

ベルサイユ広場

大統領選挙、国民議会選挙と続いた政治の季節も日曜日で一息つき、夕立の前につかの間の青空が広がった。まっすぐ行けばセーブル門、右へ行けばモンパルナス、なぜか左には行けない。左側には中道右派の巨頭が市長を務めるイシー・レ・ムリノー市が環状線を…

セーヌ川

六月だというのに肌寒い夕方、セーヌ川左岸を車で走っていた。夕陽が右岸のジョルジュ・サンク通りの教会へと沈んでいった。

ガリグリヤノ橋

五月も終わろうとしているのに、週末から寒い日々が続いている。冬のようにどんよりと空が重い朝の通勤中、セーヌ川を渡ると16区。