2008-01-01から1年間の記事一覧

もう九時過ぎだというのに森は朝霧に覆われたままで、冬の太陽は弱々しい日差しを湖面に反射させている。白鳥の群れが岸辺を漂っている。長い首を白い羽の下に折りたたんで、まるで漂白された飛び石のようだ。カメラのバッテリーが切れていたのでi-phoneで撮…

ヨットハーバー

先週は築地でS夫妻と鰻を喰った。この夫婦とは三十年来の付き合いで、数少ない生き残りのカップルの一組だが、仲がいいのか悪いのか分らない。この日は晴れた金曜日で、三十年以上前の写真をスキャンしたCDを貰った。ホテルに帰って部屋に備え付けのコンピュ…

市役所

パサデナはアメリカを東西に結ぶルート66上のスペイン風の街で、ロサンジェルスの北東に位置する。東海道で云えば新橋か品川といったところだ。日曜の午後、霧に覆われたロングビーチから五十分ほど北上すると、パサデナの街は晴れた初夏の週末のようだった…

運河の夕暮れ

今日も気温は三十度を超えた。東からの強い風が山火事の灰を運んできて、庭の椅子が黒ずんでいる。昨日は久しぶりに夢を見た。ずっと昔の夢だった。ずっと昔に住んでいたアパートに帰ろうとしている夢だった。ある私立大学の名前のついた通りを、山手線の駅…

霧の運河

十月後半だというのに日中は汗ばむ陽気だ。それで風邪を引いた。朝起きると珍しく運河は霧で覆われていた。起きる前に怖い夢を見た。夢は外套を二枚重ねに着込んで通りを過ぎていった。付いて来るなといわれても、俺には他にあてなどないのだよ。必死に追い…

運河

気がついたらもう二月も更新してない。忙しいのは今に始まったことではないのだけれど、気持ちの余裕がますます無くなってきたような気がする。昔のメロディでも口ずさんで、散歩でもするべきだな。それに南カリフォルニアの気候と乾いた景色は、夢をみる心…

Spinnaker Bay

空も海も蒼く通りを行く人々の解放的な仕草も太陽も眩しく、朝夕は涼しい海風が頬をなでる。週末の午後、庭の椅子に腰掛けて運河を眺めながらカリフォルニアワインを飲む。遠くまできたもんだ、と思う。

コロナドベイ

20kmも南に下れば国境へ辿り着く。国境の南はメキシコ。

ロングビーチ

ようやく家が決まって、ホテルから引っ越す。なにもない家の中に一人用の折りたたみベットを持ち込み、眠れない夜を過ごす。二階の窓から夜明けの光が差し込む。なんか「ホテルカルフォルニア」のジャケットのような景色だな。ここは天国なのか、地獄なのか…

ロングビーチ

蒼い空、乾いた海風、椰子の並木。プロバンスの燃えるよう夏を飼育したような穏やかな気候。人工的な家並み。巨大なミニチュアのような町だな、ここは。

コンベンション通り

7月2日にロスに引っ越して来た。取りあえず長期滞在用のホテルに住んで、住居を探すことになる。パリの写真を撮る機会も少なくなるので、このブログの題を変えました。夢を見ることは少なくなったけれど、雨が降り続く古い映画のような夢の中で見る風景は、…

マクマホン大通り

凱旋門へのなだらかな坂道をゆっくりと登っている。バカンスの季節が始まったせいか、人通りが心なし少ない。まるで田舎の道を麦わら帽子をかぶって散歩しているみたいだ。とすると、斜め前を歩いているのはガールフレンドか?白いシャツと白い半ズボンが木…

ミラノ

街は歴史博物館、空気は淡く光は繊細、パスタはやっぱりアルデンテ。あれ、拍子がなんか、id:temjinusさんみたい。

ルフェーブル大通り

ここ一月で地球をほぼ二周したことになる。昨日パリに帰りついたのだが、朝と夜が交じり合って寝たり起きたりを繰り返している。こんな旅はうんざりだ。ほんとうは、古い車にアジサイでも積んで、南の方にゆっくりと下りて行きたい。地中海の少し手前の乾燥…

ロングビーチ

空と海と砂浜が曖昧な青に溶け込んでいる。影と光が交じり合っている。誰もいない砂浜を自転車が通り過ぎる。それをベランダからぼんやりと眺めている。昔どこかでなんかこんな景色を見たことがある。 朝なのか夕方なのかよく分からない。春なのか秋なのかよ…

パークアベニュー

JFK空港を出たとたん、熱風が頬を撫でる。気温は37度。この時期には記録的な暑さらしい。大西洋を隔てて、秋から突然真夏にワープしたみたいだな。四次元の世界があれば、二つの三次元の世界が交差する扉があって、そこを通れば別の世界に行くことになる。満…

サンリス

六月だというのに、どうしてこんなに寒いんだ?慌しい一週間だった。先週の日曜日は横浜の元町辺りを古い友人と散歩していた。月曜日にパリに戻ったばかりなのに明後日はマンハッタンのホテル。それで、せめて今日くらいは、赤い薔薇で壁が覆われた家の扉を…

中目黒

午後に時間が空いたので、渋谷でコンデジを衝動買いする。それから、東横線に乗って昔住んでいた場所を訪ねる。目黒区東山1丁目**番地**。駅から山手通りを池尻大橋のほうに歩く。この建物への坂道への曲がり角に、三十数年前に通っていた定食屋を見つけた。…

ボージラール通り

先週までの陽気とうって変わって雨混じりの肌寒い風の吹く日曜日。

バイヤール通り

「バイヤール通り」には「バイヤール書店」がある。1870年創業の老舗なんだけど、最初は"Bonne Press"という書店名だったらしい。戦後のある時期に書店のあった通りの名前に変えた。"Bayard Press"。安易な命名だな。イニシャルはいずれBPだから書店のロゴは…

マリニアン通り

パリは初夏というよりも、もう真夏の陽気。モンテーニュ大通りとシャンゼリゼ大通りの間のマリニアン通りの花屋の前で人を待つ。紫陽花がきれい。中目黒に住んでいた時、電車を乗り継いで北鎌倉に紫陽花を見に行った。梅雨の頃だったと思うから、六月の後半…

デヌエット通り

季節はようやく初夏。どこまでも見渡せそうな澄んだ空気。戦火遠くかつて美しかった少女達遠く五月の亡霊からも遠く、ツバメが建物の間をすり抜け空気を切り裂く音が聞こえるような気がする。缶ビールを片手にちょっと代々木公園まで散歩に出かけたくなるよ…

パロス・ベルデス半島

この海は太平洋。ずっと西へ行けば極東に辿り着く。背後は砂漠。ずっと東に行けば大西洋を経てフランスに辿り着く。

A15

もう四月中旬だというのに、昨晩はフランス北部に大雪が降った。大雪といってもせいぜい二十センチ程度ではあるけれど、この季節には異例のことだ。 雪が降ると、古い友人から久しぶりの便りを受け取った時のように少しわくわくする。急ぎの仕事なんかを終ら…

ビクトール大通り

ボンマルシェというパリの高級デパートのポスターはいつも垢ぬけて洒落ている。それを見ていると、70年代の渋谷のパルコを思い出す。渋谷の繁華街の中心が公園通り方面に移る過渡期で、街の様相がガラリと変わろうとしていた。109も東急文化村もなかった。道…

Triel-sur-Seine

午後は私用で早退した。少し時間があったので途中"Triel-sur-Seine"という街を少し歩いた。車を止めて石塀に挟まれた細い坂道を降りるとセーヌ川に突き当たる。 五年ほど前に、会社の同僚がパリからセーヌ川沿いに出来るだけ遠くに行こうと下流目指して車を…

シテ・ユニベルシテール

パリ14区の留学生用の住居が立ち並ぶ地域を散歩した。「国際大学都市」と呼ぶらしい。復活祭の翌日がどうして祭日なのかは知らないけれど、今日は休みで学生の姿もまばらだった。それにしても、非生産的であることを宿命付けられた学生というのは奇妙な存在…

エッフェル塔

パリ西部右岸の高台にトロカデロという広場がある。その広場からシャイヨー宮をぐるっと回って降りてくると、セーヌ川に突き当たる。そのセーヌ川に架かるイエナ橋の向こう側には、尖った建築物がある。パリ西部の住民は、頻繁にこのイエナ橋を渡ることにな…

ポルト・ド・ベルサイユ

夢の中で手紙を書いた。『前略今朝、久しぶりにあなたの夢を見ました。 体育館かスタジアムのようなところでパーティが開かれていました。百人近い人たちの中には、見知った友人も何人か見かけました。あなたの細く長い姿も一瞬見かけたのだけれど、すぐに人…

Carnaby Street in London

週末をロンドンで過ごした。パリは世界で一番美しい街だと思うけれど、じっと立ち止まったままだ。ロンドンは危うい均衡を保って綱渡りをしているようだ。