ベルモント・ショアー


パリにいた時も、ふと街角で立ち止まると夢の続きを見ているような錯覚に襲われることがあったけれど、ここでも種類の違う非現実感が身体をふんわり包み込むことがある。例えば、昨日の日曜日の午後にちょっと自転車に乗って二番街までふらりと出かけた時のように、、、。

North Shore


なんか遠い昔に夢の中で行った浜辺のよう。連れは女が二人と男が一人。小柄な男は美少年風の面影を無理に追い払うようにアフロヘアーで覆った頭を、砂浜に座っている小さな方の女の膝に乗せて、太陽を一杯に浴びながら眠っているように見える。大きな方の女は、裸足で砂浜に立って手のひらを日除けのように額に翳し、白波立つ沖を眺めている。黒く細く長い髪が風に翻る。俺は砂浜に敷いた赤いスカーフの上に腰をおろし、その女を眺めている。太陽は少しずつ西に傾き水平線に近づいていく。遅送りのフィルムのように時間はゆっくりと流れ、波の音と風の音だけが鼓膜を震わす。四人はその砂浜でじっと動かない。影だけがだんだんと長く大きく砂浜を覆う。遠い昔に見た夢。

マリーナ


明けましておめでとう。ロングビーチの大晦日は、パインアベニューにビートルズコピーバンドのコンサートを聴きに行った。それから新年は燃えるような朝日がマリーナを赤く染めていた。