エンジェル球場


最後に球場に行ったのは、何年前のことだろう。あれは、西武のデーゲームで、外野の芝生に寝転がって退屈な試合を見ていた。乗り継いだ西武所沢線も所沢球場もガラガラで、入道雲立ち上る日曜日の午後は、なんとも云えない侘しさに包まれていた。もう三十年前のことだ。

大リーグの試合は初めてだったけれど、ショーとしてのゲームは野球の試合とは違う楽しみ方があるんだろうな。序盤で三点リードされたエンジェルスが八、九回で追いついてあわや逆転サヨナラか、というところだったけれど、延長戦になったので、そのまま結果を見ずに席を立った。広大な駐車場では、ラジオで実況中継を聞きながらピクニックしている人達があちこちにいた。

ラスベガス


気付いたら、二ヶ月振りだ。夢をあまり見なくなったから、更新も滞りがち。週末に、砂漠の中の蜃気楼のような街、ラスベガスに行った。ホテルの窓からパリが見える。パリの向こうは砂漠が広がっている。乾いた突風が噴水の水を横殴りに倒す。醒めない夢も虚しいが、張りぼての夢は悲しい。それでも、日常の退屈よりもましという訳だろうな。

海を見つめる少女


風の強い日曜日の午後の砂浜で、少女はじっと海を見ていた。日焼けで傷めた肌に塗ったクリームのチューブをしっかりと握り締めて、不思議な波を見ていた。曇り空の下、波の向こうにウインドーサーフィンのカラフルな帆とダウンタウンの高層ビルが見える。砂浜は夏至祭りの人々で賑わっている。ピースとかラブとか60〜70年代ウッドストック風の男女が単調な打楽器のリズムに合わせて踊っている。そんな人々の賑わいをよそに、少女はじっと海を見ていた。少し寂しそうに少し嬉しそうに。

Dallas


遥かなる荒野に飛行機が離着陸を繰り返している。汗が額に浮かぶ。昔何処かでこんな景色に出逢ったはずだが、思いだせない。サングラスを外して空を見上げる。それから、懐かしさの在り処に辿り着かないもどかしさを振り切って、タラップを登る。