『美しい人』

 日本からの帰りの機中、"Nine Lives"というB級映画を観た。監督は、『百年の孤独』の作者ガルシア・マルケスの息子。九人の女性の劇的且つ凡庸な九つの人生の断片が、巧みに編集された短編小説集のように九つ続く。邦題は『美しい人』


 一台のカメラがノーカットで役者を追うだけの演劇の舞台のような映画だった。セリフが飛びぬけて文学的というわけでもストーリーが奇抜なわけでもない。それでも、疲れていたのに二回観た。それから、少し眠った。飛行機のエンジン音に包まれながら、久しぶりになんか懐かしい夢を見た。