政治の風景


 フランスは大統領選挙の年、政治の季節。一月十四日に与党UMP党の党首で内務大臣のサルコジが、ポルト・ド・ベルサイユで開かれた党大会で大統領候補に選出された。その時の反対派の小さなデモの写真。

 社会党からはロワイヤルという女性候補が選出された。こちらは、環境大臣の経験はあるものの党や政府での主要ポスト経験のないダークホースだったのが、あれよあれよという間に「フランス初の女性大統領か?」というところまで一騎に階段を駆け上って来た。さすがにここに来て息切れの感じは免れなくて、世論調査での支持率は下げ止まらず、サルコジに抜かれた。他の社会党候補に比べても見識・議論など見劣りがすると思うのだが、またそれが新鮮に見えるのかもしれない。現社会党書記長とは長年パートナーで、二人の間には三人の子供がいる。

 じわじわと支持率を伸ばして「第三の男」として認知されそうなのが、中道右派のバイロウ。強面のサルコジに対して左右穏健派に支持を広げている。未だに「右」と「左」というはっきりした色分けの好きなフランス人に、「それはもう古い」と云っているのは好感が持ている。もし二次選挙に残ればチャンスがあるような気もするけど、まず無理なんだろう。

 前回社会党の現役首相を破って二次に残った極右のル・ペンは、今回は候補に必要な地方自治体首長の推薦数が足りなくて苦戦している。それでも10%前後の支持率は侮れない。

 上の四人以外にも、共産党など右翼左翼合わせて15人くらいが候補に名乗りを上げているが、そのうち何人かは五百の推薦者が確保できないかもしれない。前回は、本命の社会党候補が一次で敗退するという大番狂わせで、二次選挙はほぼ無風だったけれど、今回は最後の最後までフランスを二分する戦いが繰り広げられそうだ。第一回投票まで、七十七日。