コンフラン


それから夜明け頃にうとうとしながら夢の続きをみた。

 女の子と歩いている。もしかしたら恋人かもしれない。それが誰だったのか分からない。白い薄手のカーデガンを羽織った彼女は僕の少し前を歩いている。季節は秋?或いは春先、、、。

坂を登ってどこかの大学のキャンパスに入り込む。彼女はふと振り向いて「今、お金ないの」と僕に呟く。僕は金の無心なんかしていないのに。他の誰かが僕になりすまして彼女をだましているのか、彼女が僕を他の誰かと間違っているのか。
 それから何かわけの分からないトラブルに巻き込まれて、気が付いたら僕は彼女の手を握って逃げ出している。近道をしようとして鉄条網の張り巡らせた芝生の斜面を滑り降りる。どうしてこんなところに鉄条網があるんだ?数人の男たちが追ってくる。彼らはすぐ後ろに迫っている。道路まで駆け降りるとパトカーが止まっている。僕たちは凶悪犯らしい。パトカーから二人の警官がピストルを抜いて出てくる。僕はとっさに誰にも気付かれないように(それが可能だったのだ) 車の窓から恋人を助手席に担ぎいれ(もちろん恋人だけでも助けたかった)、それから道路を駆け抜けようとした。でも、次の瞬間には僕は捕まえられ道路脇のコンクリートの上に立たされた。

 振り向くと、助手席に担ぎいれた少女は僕の恋人ではなくて知らない男で、パトカーから逃げ出そうとして脇腹に二発の銃弾を喰らい血の海にうずくまる。それからオープンカーで病院に運ばれていった。その男は動物がそうするように自分の傷を舐めて癒そうとしているように見えた。僕はいつのまにか一人の野次馬のような顔で道路脇で少し顔をしかめて、事件を眺めていた。