サン・ルイ島②


 セーヌ河岸でピクニックをしている娘たちの解放された明るさと、日陰でアイスクリームを食べている恋人たちの落ち着いた佇まい。ようやく訪れた夏を少しは享受しようと、サン・ルイ島まで散歩した。文字通り色とりどりの観光客に混じって美しい街並みを歩いていると、自分もどこか遠くの街で彷徨っているようで、パリはそこに住んでいる住民にさえその浮遊感が魅力的な街だ。ローマもそうだけれど、重層的な文化と堆積する時間と空間が、その浮遊感に重力を与えてくれる。なんか観光案内みたいだな。