ル・フェーブル大通り再び


 午後9時、夏の夕暮れ。随分と日暮れが早くなった。日本と違って蝉も鳴かず、西日もロシア人の頬ずりのようひんやりとしている。バカンスで交通量のめっきり減った大通りの舗道を人が歩いている。ベルサイユ門はパリの西南端。観光客もここでは群れからはぐれた子羊のようにまばらで心細げである。