中目黒


 午後に時間が空いたので、渋谷でコンデジを衝動買いする。それから、東横線に乗って昔住んでいた場所を訪ねる。目黒区東山1丁目**番地**。駅から山手通りを池尻大橋のほうに歩く。この建物への坂道への曲がり角に、三十数年前に通っていた定食屋を見つけた。「へぇ、まだやってるんだ」と感動したのだが、ショーケースには五月三十日で閉店する旨の張り紙。「長年のご愛顧ありがとうございました」。時間はゆっくりと確実に流れていく。でもこの建物は、あの頃と変わらない。部屋に鍵を掛けたことがなかった。ひとりで眠る夜は少なかった。お金はあまりなかったけれど、音楽と酒と麻雀と書物がいろんな人と一緒に繰り返し流れ去る終わりのないパーティのような毎日だったな。ねっ。