ルフェーブル大通り


 ここ一月で地球をほぼ二周したことになる。昨日パリに帰りついたのだが、朝と夜が交じり合って寝たり起きたりを繰り返している。こんな旅はうんざりだ。ほんとうは、古い車にアジサイでも積んで、南の方にゆっくりと下りて行きたい。地中海の少し手前の乾燥した丘陵地帯で一休みする。ローヌの谷間を吹き抜ける強い風と照りつける太陽で、地表はワニの皮のように乾ききっている。オリーブの葉が銀色に輝いている。紫色に染まったラベンダーの畑を見下ろす丘の上で荷を解く。鶯が歌い蝉が鳴いている。少し生暖かくなったパテをパンに刷り込み、ワインと一緒に飲み干す。そんな旅がしたい。

 でも、今年は無理だな。