ローマのピラミッド


 木曜日のローマはタクシーのストで大渋滞だった。もちろん、タクシーが走らないから渋滞になった訳ではなくて、タクシードライバー達が抗議のために市内の動脈部を通行止めにしたためだ。それでもフランスのゼネストに比べると比較的あっけらかんとしたもので、金曜日にはほぼ通常の渋滞に戻っていた。ローマはパリと比べるとはるかに混沌とした街だけれど、街角のいたるところに重層的な歴史が満ち溢れている。ただ、空港へと向かう途中のサン・セバスティアーノ門に聳えている紀元前に建造されたらしい小さなピラミッドは、フォーラムやネロの大浴場やコロッセオが人間臭さと文化の香りを充満させているのに比べて、なんとも無機質な不思議な感じ。