2007-01-01から1年間の記事一覧

陸軍士官学校

パリの春の朝の空気はとても澄んでいる。芝生は自動水撒き機のお陰で適度な湿り気を帯び、手入れの行き届いた花弁の水玉が朝の光に輝いている。夕べは寝つきが悪かった。明け方うつらうつらしながら見た夢も覚えていない。少し重い気分で家を出たけれど、朝…

環状線

美術館に一人佇んでいる女性は美しく見える。本当は内面など見えないのに、知的な印象を強く受けるからだろう。それに、広く静かな美術館に響く彼女のヒールの音は、深い孤独を湛えている。そう想像させるだけの舞台装置の中に佇んでいる彼女は、知的で孤独…

ム二ュクール

パリ北西に位置するベクサン地方は、セルジー・ポントワーズからセーヌ川添いにルーアンまで広がり、フランスの穀倉地帯を形成している。ゴッホ、ボビニィ、ピサロなど多くの印象派の画家がこの地域で暮らし作品を残している。曇り空の下、黄色く染め抜かれ…

モンスリ公園

やたらと飛行機雲の多い午後だった。パリ13区のモンスリ公園では、家族連れや若い恋人達が芝生の上で日向ぼっこしている。夕食までの時間をのんびりと散歩した。典型的な穏やかな春の休日の午後。金はないけど暇だけは売るほどあった学生の頃は、友人達と代…

ルフェーブル大通り

今日は大統領選挙。午後八時にはシラクの次の大統領が分る。直近の世論調査はどれもサルコジの大幅なリードを伝えていたけれど、こればかりは蓋を開けるまで分らない。フランスには左派と右派が五割ずついていつも大接戦になるのだけれど、前回の大統領選で…

アンドレ・シトロエン公園

久しぶりに夢を見た。 私は、昔住んでいた私鉄沿線の街に戻ってきたばかりだ。公衆電話の横で、改札口が吐き出す乗客の中に彼女を見つける。それから、一緒に近くの公園までぶらぶらと歩く。そこでは集会が催されていて、誰かが遠くのステージで演説をしてい…

ジョルジュ・サンク通り

パリでは、工事中のビルの壁画はいろいろ楽しいものが多いが、このダリ風壁画は、昔15区のビアケイムの『サージェント・ペッパー・ロンリー・ハート・クラブ・バンド』風壁画以来の傑作。

トリアル・シュール・セーヌ

セーヌ川沿いの広い庭の奥に、十九世紀の城館が午後の太陽を一杯に浴びてゆったりと佇んでいる。日本は、フローではフランスを凌駕しているが、ストックは遥かに及ばない。

ポンピドー病院

来週の日曜日は、大統領選の第一回投票日。ポンピドーと云えばシラク、ミッテラン、ジスカール・デスタンのその前の大統領だから、来月選出される新大統領から数えると五代前になる。レ・アールのポンピドー美術館と合わせて斬新な建造物。受付は明るく広々…

菜の花畑

見渡す限りの菜の花畑。どこまで行っても菜の花畑。あの向こうには何があるんだろう。生まれ育った九州では見たこともないはずなのに、なんとなく懐かしい気持ちになる。少女と手を繋いで散歩をした少年の頃を思い出す、はずもないのだが。パリから車で三十…

リール美術館

ルーブルに次ぐフランス二番目の美術館らしい。なにが二番目なのか?コレクションの質は、まさかオルセーに勝るとは思えないから、館の大きさなのだろう。或いはコレクションの数かもしれない。広々とした壁が狭く感じられるほど一杯に画が展示されている。…

リール旧市街

リールの旧市街地。リールと云えば35時間制を導入したマルチン・オベリの地盤で学生の多い街。天然ガスで走るバスや大幅な車線規制など、社会党・緑の党の政策が垣間見られる。しかし、公共交通機関の少ないこの街での車線規制などで、中心部の渋滞も酷かっ…

クールディモンシュの墓地

広大な麦畑の中、石塀で囲まれた墓地。この国では、愛国心と個人主義が同居している。愛国心は保守的にも反逆的にもなりうる。王を追放した不思議な国の田舎の風景。

クールディモンシュ

セルジー・ポントワーズのさらに郊外の村。フランスでは、どんな小さな村にも、出兵して帰ってこなかった人たちの墓碑が必ずある。「フランスの為に死んでいったクールディモンシュの子供たちに」。第一次大戦時にこの村から出征して亡くなった十数人の人た…

オワーズ川

暗い冬の一日も終わりに近づいていた。貨物船が妖艶な波を曳いて川下に消えていった。逆光の中、黒々と影のように静まり返る森とその川面が渾然とした空間を創り、じっと見ていると、その中に吸い込まれてしまいそうになる。

マドレーヌ寺院

ダヴィンチコードで一躍有名になったマグダラのマリアを祭っているカトリックの教会。正面の通りは、ナポレオンがエジプトから持ち帰ったオベリスクのあるコンコルド広場へと続く。右に曲がればオペラ広場。仕事で近くまで行ったが、車でのアクセスは最低。…

政治の風景

フランスは大統領選挙の年、政治の季節。一月十四日に与党UMP党の党首で内務大臣のサルコジが、ポルト・ド・ベルサイユで開かれた党大会で大統領候補に選出された。その時の反対派の小さなデモの写真。 社会党からはロワイヤルという女性候補が選出された。…

サクレ・クール寺院より

細くて暗くて急な階段を登っていった。ようやく辿りついた寺院の塔の窓から外を覗いた。冬の短い午後の最後の陽光が街を照らしていた。

コンフラン

それから夜明け頃にうとうとしながら夢の続きをみた。 女の子と歩いている。もしかしたら恋人かもしれない。それが誰だったのか分からない。白い薄手のカーデガンを羽織った彼女は僕の少し前を歩いている。季節は秋?或いは春先、、、。坂を登ってどこかの大…

アレクサンドル三世橋

夢を見た。窓から360度の視野で街を見下ろせる高い塔に住んでいた。ある朝目を覚ますと、廃墟と化した近未来都市が降ってきて、街を埋め尽くしている。ああ、夜中に街が降ってきたんだなあ。近未来都市の残骸に埋め尽くされた古い街並みを見下ろしながら、ぼ…

カレー

TGVのカレー駅。三十年前、外房小湊のホテルの箱バンの手伝いに呼ばれたことがあった。電話で指示された駅にベースを抱えて降り立ったのは、夏の終わりの夕暮れ時。寂れたホームと夕陽が妙に侘しかったけれど、その時と同じような夕陽が駅のホームの向こう側…

ラレイ城(le chateau de Raray)

コクトーの映画「美女と野獣」(La Belle et la Bete)の舞台になった城。今はホテルとレストラン、それに広大な敷地はゴルフ場になっている。こうした歴史的建築物でも、ある程度商売をしないと維持できないのだ。パリ近郊にはこうした城が数知れずあるが、そ…

terranaomi

パリとはなんの関係もないけれど、下のビデオが気に入ったので転載します。インターネットで流した彼女の歌に対して世界中から送られてきたビデオを編集して、製作したミュージック・クリップだけど、新鮮な試みだと思う。歌もいいし。

コンフラン・サント・オノリーヌ

セーヌ沿いの美しい港町、コンフランの小路。左に曲がると、古い屋敷の尖塔や公園や教会や市の美術館がある。右にはなんにもない。ただ、石塀に挟まれた敷石の細い舗道が緩く登っていた。次に機会があれば、右に曲がってみよう。

台所

やっと改装の終わった台所。2006年11月12日の写真と比べると、変わるものだなと我ながら感心する。それと、もう一つビデオ作りました。冗長だし撮るときの要領が悪いな。勉強、勉強(笑)。 パリの黄昏 - YouTube

ムドン

元旦の伽藍とした街。パリ市内には一軒家はほとんどないけれど、少し郊外に出るとミニチュアのような街並みに出合う。ムドンの街の丘に登るとパリと郊外が一望の下に見渡せる。今日は曇っていて白茶けていてシニックな風景だった。 右の丘はモンマルトル。そ…