Carnaby Street in London

週末をロンドンで過ごした。パリは世界で一番美しい街だと思うけれど、じっと立ち止まったままだ。ロンドンは危うい均衡を保って綱渡りをしているようだ。

"Atonement"

Atonement作者: Ian McEwan出版社/メーカー: Vintage発売日: 2002/05/02メディア: ペーパーバック クリック: 5回この商品を含むブログ (6件) を見る バンコクからパリへの帰りの飛行機で、この小説が原作の映画を二度も見てしまった。最初は英語で二度目は日…

荒野

久しぶりに夢を見た。 桜上水か下高井戸のアパート。玄関の扉を開くとすぐに台所と四畳半の食堂が続き、その奥に六畳ほどの部屋がある。なんの変哲もない木造モルタルアパート。部屋の中にはなにもない。窓に掛けられたベージュのカーテンが陽の光を淡くぼか…

ビレーヌ・シュール・セーヌ

早朝のパリ郊外、霧に煙るブドウ畑。畦道の向こうから、誰かがやってくる気配がする。

Teen Age Dream

今日は寒い土曜日だった。三十数年前に兄貴の作った歌を歌ってみた。やっぱり下手だった。慣れない多重録音ソフトとありあわせの映像を見繕っていまだ良くわからんムービーメーカーで『クリップ』を作った。でも酔って作ったから、ちょっと酷かった。いった…

コンフラン

今日久しぶりにボブ・デュランの「北国の少女」(*1)を聴いていて、五年ほど前の冬の旅を思い出した。「夢も凍りそうな寒い日に」(*2)上野駅から上越新幹線に乗った。長い日本出張中、日程の都合でぽっかり一日空きができた。疲れているのに時差で眠れない…

ポルト・ド・ベルサイユ

たった三日いなかっただけなのに、パリは寒いのかとかサルコはインドあたりでなにをフラフラしてるのだろうとかフランスのアリのテニスだとかソシエテ・ジェネラルはさておきBNPは大丈夫なのかとか、パリからのニュースは、春に遠くの景色を望遠鏡で眺めてい…

フェルディナン・ファーブル通り

昼寝をした。夢を見た。何度目を覚ましてもまた夢の中という無限ループのような夢だった。目覚めると、帰っていく息子の恋人の後姿を、女房が窓からじっと見詰めていた。昼前には、一緒に昼食を食べようと云っていた息子とその恋人を待っていた。ところが、…

ポントワーズ

久しぶりに夢を見た。見知らぬ駅に降り立つ。人通りの少ない駅前の商店街をあてもなく歩く。季節は春、或いは秋。知り合いの家を訪ねているような気もするし、バスに乗り換えるために停車場を探しているような気もする。街はずれのビルボードに地図を見つけ…

陸軍士官学校

曇った日曜日の午後に陸軍士官学校の裏を通りかかったら、お堀の角にト音記号を見つけた。新しいギターを昨日買った。そのギターのようなエッフェル塔が裏で寒々と聳えていた。

デボルド・バルモール通り

どんよりとした夕暮れ時に人を訪ねた。一方通行の薄暗い通りは一方通行の別の通りに突き当たり、左に行きたかったのに行けなかった。

オージバルの夜明け

通勤の途中で車の中から見た夜明け。二十歳の頃には単車に乗っていた。生暖かい車の中と違い、冬の単車は厳しい。晴れた夜明け際、朝露を払いながらシートをまたぐ。キーを差し込み、キックペダルを二三度軽く押しこんだ後、体重を乗せて一気に蹴りを入れる…

ローマのピラミッド

木曜日のローマはタクシーのストで大渋滞だった。もちろん、タクシーが走らないから渋滞になった訳ではなくて、タクシードライバー達が抗議のために市内の動脈部を通行止めにしたためだ。それでもフランスのゼネストに比べると比較的あっけらかんとしたもの…

バスチーユ広場

随分昔に見た夢。 恋人から連絡があったのは本当にひさしぶりのことだった。恋人からの連絡が久しぶりというのは定義矛盾のようだが、まあそれは夢の中のことだからしかたない。前日電話が掛ってきて待合せ場所を決めた。通いなれた駅とその場所を頭の中で思…

国会議事堂とエッフェル塔

別に好んで夜明けや夕暮ればかり撮ってるわけじゃないけれど、冬時間突入以来日照時間が短くて、就業時間外は日が射していないのです。朝家を出る頃、ようやく東の空に僅かな光が灯り、仕事が終わって外に出る頃にはもう真っ暗。パリの長い夜は夜で過ごしよ…

サン・ジェルマン・デ・プレ

昨日はパリや地方都市で学生のデモがあった。幾つかの大学は封鎖されたらしい。最近議会で可決された大学自治を強化するための新法への抗議らしい。よくは分らない。若者はいつの時代にも異議を申し立てるものだしどんな異議申し立てにもいくつかの正当性を…

ベルサイユ広場

モンパルナスで、ウディ・アレンの最新作『カサンドラの夢』を見た。あちこちにインテリが喜びそうな所謂「アレン節」の効いた会話を織り交ぜながらも、結局は『マッチポイント』のB面のような映画だったよなあ、とつらつらパーティの場面の会話を思い出しな…

オリビエ・ド・セール通り

パリは美しい街だ。世界で最も美しいとさえ思う。同時に、混沌に包まれてもいる。ストや工事が多く、車は無秩序に走り我が物顔で路地や中庭に所狭しと駐車している。世界に冠たる食文化を誇っているけれど、中華やイタリアンレストランの多さでも他の大都市…

ビレーヌ・シュール・セーヌ

久しぶりのゼネストだった。95年のジュッペ政権を崩壊に追い込んだ規模と同じくらいの広範なストライキだったらしいが、今日は小春日和の穏やかな一日だった。目的は「一部の公務員年金特別制度の改変」に対する既得権確保だけれど、組合としても特別制度撤…

エッフェル塔

見終わっても数日間、折に触れて反芻する、稀にそんな映画がある。一昨日CANAL+でたまたま見た"Je vais bien, ne t'en fait pas"もそんな映画の一つだった。『心配するな、俺は大丈夫だから』とでも訳すのだろうか?でも、それじゃ映画の題名にはならないな…

カンヌ

もう二十年、ほぼ毎年、年に二度、仕事でカンヌに来る。海から離れた丘の上のホテルは、十月ともなるとバカンス客もすっかりいなくなり、なんとなく侘しさを漂わせている。遅めの朝食を済まして部屋に戻り、テラスに出て下を覗くと、来年の五月までは使うこ…

サン・ロンベール広場

日曜日の正午少し前、教会からミサの歌が漏れてくる。ベンチに腰掛けて本を読んでいる人がいる。時々、枯葉がはらはらと落ちる音がする。犬を連れた老婦人が車でやってきて、教会の周りを数周散歩して、また車でどこかへ消えて行く。スープの匂いがする。珈…

サクレ・クール寺院

風邪をこじらせた。肺炎とまではいかなくても、気管支炎くらいは併発してるだろう。咳をすると、喉どころか気管支の肺の近くの管が痛い。身体の節々も痛い。筋肉痛も併発しているのだろう。それにしても寒い。九月だというのに、まるで冬がやって来たような…

ルーブル

台風が通り過ぎた後の東京は、ぶり返した猛暑で息苦しい。これほど意味の氾濫している街にいると、パリの無意味な倦怠がすでに懐かしい。

鋸山

パリに戻ってもう二週間も経つのに、いつまでも未練がましく「プロバンス」でもないのだけれど、決してやって来ることのなかった今年の夏を偲んで、私が鋸山と呼んでいる"Dentelles de Montmirail"に暮れる夕暮れで、今年の「プロバンスシリーズ」は終わりに…

Venasque

中世の田舎の教会は丘の上にある。外敵の侵入から守るために街が丘の上にあったのだから当然である。Comtat Venaissinに属するこの街は、背後のボークルーズ山系を守護神にして、ボントー山を望む正面は険しい崖に守られている。18世紀初頭にマルセイユを襲…

フラッソン

ブドウ畑に覆われた丘の頂の小さな納屋までの散歩を日課としていた。その日は、その納屋の左上に消しそこないのような雲が浮かんでいた。

レ・ガ

広大なブドウ畑が波を打つように連なっている。起伏の一つが丘をなし、その片隅に集落がある。集落の中心には泉と洗濯場があり、その泉を囲むように十数件の家屋が軒を連ねている。入り組んだ壁と壁の隙間に隠れるように一つの門が見えた。暗い集落の中でそ…

バントー山麓

例えば野原に建築途中の捨て置かれた納屋がある。或いは電気も水道も通っていない納屋でバカンスを過ごすベルギー人がいる。『プロバンスの12ヶ月』で有名なリュベロンは洗練された田園と手入れの行き届いた家屋が続いているけれど、ここバントー山の麓は綻…

Dentelles de Montmirail

ボークルーズのノコギリ山に暮れかかる夕陽。こんな景色は日本にはないはずなのに、なんか懐かしい気がするから不思議。でも、プロバンスでは夕陽ばかり撮ってるな、、、。